秘書のみなさんこんにちは!ナミコです。
突然ですが、みなさんの上司はどんな方ですか?
今までお仕えした方に、印象に残っている方はいらっしゃいますか?
私は秘書として数社で勤務したこともあり、これまでに複数の上司についてきました。
今回は自分が今までお仕事をしてきた中で「いい意味で印象に残っている、素敵な上司との出会い」を振り返ってみたいと思います!
目次
新入社員のクリスマスに「せめて心豊かなクリスマスを過ごしなさい」
忘れもしない、新卒で社会人として初めて迎えたクリスマス。
同期の女性3人、揃いも揃って予定がなかった私たちは「3人でぱぁーっと飲みにいこうか!」と色気のない相談をしていました。
そんな私たちを見かねたのか、当時お仕えしていた上司、A部長(男性)が「せめて心豊かなクリスマスを過ごしなさい」と人数分くださったプレゼント。
それはなんと海外有名バレエ団の公演チケット!
しかも1枚1万円以上する、ど真ん中のSS席でした。
当時少しでもおこづかいがあれば、即座に服や飲み代に消えていたような私たちには、もちろんバレエの知識などゼロ……。
当然その価値は誰にも伝わらず「ぽかーん」というのが正直な反応でした。
しかし上司にいただいた手前、誰かに譲ったりするわけにもいきません。
クリスマスに人生初のバレエ鑑賞が決定したのでした。
とは言え、まさにブタに真珠、全く価値のわからない私たちは「寝たら起こしてね……」などと事前のテンションは最悪。
おまけに噂を聞きつけた同僚や先輩にまで「クリスマスに女3人でバレエ観にいくんだって?」と笑われる始末……。
当日はせめて帰りにおいしいスイーツでも食べよう、と、しぶしぶ会場に向かったのでした。
そこは通い慣れた薄暗いライブハウスとは違い、ドレスアップした老若男女たちが優雅に集う(ように見えた)眩しい空間。
そんな中ドレスコードすら知らず、普段着の私たちは既に居心地悪くそわそわ……。
クリスマスということで、もちろん演目は『くるみ割り人形』。
当時の私たちはそのストーリーすら知りませんでした。
しかし幕が上がり、超一流のダンサーたちが次々に創り出す、美しく力強いバレエの世界を特等席で生鑑賞した私たち。
あまりの迫力と美しさに、寝るどころか、カーテンコールでは揃って涙を流すほど感動してしまったのでした。
語彙力のない私たちはただただ「すごかったね!」と言いながら、寄り道をすることもなくまさかの現地解散。
後日、A部長に、お礼に3人からホテルランチをプレゼントし、当日の感動をお伝えしました。
すると、上司より「興味がないのに、揃って行ってくれたことが一番うれしい。素直なみなさんは今後もきっと豊かな人生を送れるはずです」とありがたいお言葉をいただいたのを覚えています。
時を経た現在、家族の休日の過ごし方にも『クラシックコンサート』という選択肢があるのもA部長のおかげです。
何も知らなかったあの頃に比べ、少しは豊かな人生を送れているのかもしれません。
新人秘書にまで丁寧な本部長「もっと素敵な女性に」
また、同じく新卒として配属になって間もない頃、電話に出ると社名を言わずに「〇〇です」と個人名だけを名乗るのみの方が。
ビジネスの電話としては違和感があり、当然「?」と思いながらも「お世話になっております」とお客様向けの応対……。
するとしばし沈黙の後、「A部長に代わって」とのこと。
えらそうなお客様だなあ、と内心不思議に思いながらもA部長にお繋ぎしたところ、A部長は電話の後、大笑い。
「今のはうちの本部長だよ、まだ名前覚えてないかな?」なんと私は、あろうことか役員の名前を間違えて覚えていたのです!
幸いA部長と本部長は旧知の仲だったため、笑い話で済みましたが、怒鳴られても当然の体験でした。
後日、本部長在席の折にお詫びに伺ったところ、「新人さんにまだ覚えてもらえてないとは、僕の知名度もまだまだだなあ」と笑って許していただけたのが救いでした。
実は本部長はいわゆる「現場からのたたき上げ」で初めて役員に就任された人格者。
えらそうなところが全くない、と有名な方でした。
役員就任後も、工場視察の際は、現場社員同様「社チャリ」で巡回し、社食で定食を食べるのを楽しみにされているような方でした。
そんなわけで、この失敗談も笑い話で済ませてくださる、懐の深い方でした。
さらに後日、私の机に本部長から自筆のお手紙が!そこにはこう書いてありました。
社内の人には『お疲れ様です』、
社外の人には『お世話になっております』電話の前でも笑顔で言えば、相手には伝わります。
今よりもっと素敵な女性になれますように。
私はそのお手紙をコピーし、ずっと自席のデスクマットに挟んで、事あるごとに見返していました。
今でも大切に保管しています。
当たり前のことを馬鹿にせず、新人にまで直接丁寧に教えてくださった本部長には本当に感謝しています。
全社イチの武闘派?「聞くことは何ら恥ずかしいことではない」
その後、旅行関係に勤務していた際にお仕えしていた上司、Z所長は『全社一の武闘派』と言われていました。
その名の通り、制服を着ているにもかかわらず、ヤクザ映画から出てきたような風格に、髪型はもはや絶滅寸前とも言われるパンチパーマ(思わず触らせてもらったことも(笑))。
愛車は左ハンドルのいかつい高級車で、クラクションを鳴らさずともなぜかいつも周囲の車が道を譲ってくれるような方でした。
「偉い人を出せ!」と言われることも日常茶飯事だった職場でした。
そして本当に「偉い人」として所長に取り次ぐと、その外見に圧倒され「もういい」と帰ってしまうお客様が続出……。
徐々に「出せ!」と言われることもなくなり、「最近出番がないなあ」と暇そうにしている武闘派?でした。
そんなZ所長は人をとても大事にしていました。
食事は地元商店街の定食屋や喫茶店に通い、お店の方やお客様同士、すぐに友達になって帰ってきます。
また、少額のイベント券1枚のご注文でも丁寧に自らお届け。
おかげで地元商店街での人気は抜群。
所長室にはひっきりなしに、そのまんまのニックネームで「パンチ所長いる?」と地元の方がお見えになることも。
世間話のついでに「うちの店に置いておくわね」と、本来こちらが配るべきチラシを持って帰ってくださいます。
当然企画商品を売り出せば飛ぶように売れ、毎年支店の営業成績はトップを独走。
所長室は並べきれない表彰状に埋め尽くされ、毎年トップ賞副賞の食事券で社員全員が豪華な忘年会にありつけたぐらいです。
また、Z所長は社員も大切にしてくださいました。
特に地方出身の新人には積極的に声をかけ、出身地に関係する商品の企画やPOPの作成を任せていました。
その商品に興味を持ったお客様がいらっしゃれば、担当させて売り上げを上げられるように配慮するなど、細かい心配りもされる方でした。
噂を聞きつけ、他支店から異動願を出して異動してくる社員もいたほど。
そんなZ所長の印象に残っている言葉がこちらです。
商品の詳細なんていちいち覚えようとしなくていい。
その代わり、どこを見れば確実な情報が得られるか、困った時だれに聞けば間違いがないか、それだけはしっかり覚えておきなさい。
聞くことは何ら恥ずかしいことではない。一番悪いのは、自分だけで完結しようとすること。
それ以降、所長宛に毎日のように届くチラシは、ファイリングの際にタイトル部分だけを切り取り、詳細な内容を綴じたファイルの表紙に貼り付けました。
さらに、責任者の連絡先もついでに大々的に記入して、接客中の社員が全員で共有できるようにしました。
現在もファイリングの際にはこの言葉を思い出して、分かりやすさを優先するようにしています。
また、欲しい情報を取捨選択する際、ネットの噂などに惑わされず、確実な情報をためらわずに直接問い合わせる癖がついたのも、Z所長のこの言葉のおかげです。
同じ秘書としてお仕事をするなら……
今回は、私が秘書として上司から学んだこともあわせてご紹介してみました。
同じ秘書としてお仕事をするなら、後々の人生で思い出されるような方との出会いがあると、お仕事も楽しくなりますよね。
みなさんにも、お仕事を通じての良い出会いがあることをお祈りしております。
それでは秘書のみなさん、今日もお疲れさまです!
現在外資系商社にて、社長秘書、総務業務全般を約10年担当
突発的なトラブルすら面白がる前向きかつ好奇心旺盛な性格で、今日も楽しくお仕事中。
日々の気づきの中、秘書のみなさんと共有したいことを発信していきますね。
No comments yet.