秘書のみなさん、こんにちは!Emilyです。
社長である私の上司は、社内外の様々な会合や会議、式典の場でスピーチをする立場にあります。
そして、そのスピーチ原稿を上司に代わって執筆するのが、秘書である私の大切な仕事です。
重要なビジネスシーンでの上司のスピーチ。
その成否を分ける原稿執筆は、数ある秘書業務の中でもとくに難しい仕事のひとつだと思っています。
この記事を読んでくださっている方の中にも、同じようにお悩みの秘書さんが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、私が原稿執筆で気をつけている点や、過去の経験から学んだことをみなさんに共有したいと思います!
目次
秘書の情報収集は日常的に!
原稿執筆において、文章力と同じくらい重要なのが情報収集力です。
新聞やニュースのチェック、広報部との連携などを日常的に行い、原稿に取り入れられそうな話題を常にストックするようにしています。
そしてもう1つ、私が日頃から意識的に行っていることがあります。
それは、上司が普段何気なく発した言葉や、そこから読み取れる考え方、上司の身の回りで起きた些細な出来事などをメモしておくことです。
上司自身の言葉や経験をそのまま原稿に盛り込むことで、より印象的な言葉として聴く人の心に届くと思っています。
秘書が原稿を執筆する時の注意点
原稿執筆に際して、私がとくに注意しているのは以下の3点です。
①情報の裏取り
誤った情報の発信は上司の信用を失墜させるだけなく、内容次第では風説の流布や犯罪とみなされてしまう恐れもあります。
特に、ネット上の情報は必ずしも正しいとは限りません。
利用する際には信頼できる情報源かを必ず確認し、できるだけ複数の情報源と照らし合わせるようにしています。
省庁や大手メディア、大企業などは比較的信頼性の高い情報源ですが、ネットだけで100%正確な情報を得るのは困難です。
スピーチの要点となる重要な内容については、文献等も用いて抜かりなく確認を行うことをオススメします。
②モラル的配慮
大勢の前で話す際に政治や宗教の話は避けるべき、というのはよく聞かれることですよね。
他にも聴く人に不快感を与えたり、議論を生む可能性のある話題には触れないほうが無難です。
例えば、男女間の話題や家庭に関することなど、一般的と思われる話題であっても、聴き手には様々な事情を抱えている人がいることを踏まえ、慎重に言葉を選ぶようにしています。
また、差別的な意味を含む言葉や俗語にも細心の注意を払わなければなりません。
例えば、「父兄」や「サラリーマン」のように、男女いずれかに偏った表現もジェンダーの観点から注意すべきワードとなります。
「保護者」や「会社員」のようにフラットな表現を使うようにしています。
③制限時間
スピーチには多くの場合、制限時間があります。
3分程度の短いものから数十分に及ぶものまで様々ですが、会の主催者からの指定や式次第上の制限があれば必ず守らなければなりません。
もし制限時間を示されていなくても、会全体の所要時間や他の発言者数などを考えれば、適した持ち時間は予測できるものです。
執筆中の原稿は実際に自分でも読み上げてみて、時間を計測するようにしています。
「導入部」ではタイムリーな話題を
スピーチ原稿の基本的な構成は、「序・本・結の三段構成」や「起承転結」などです。
これらの「序」や「起」はスピーチの導入部にあたり、聴き手をどれだけ話に引き込めるが決まる、原稿執筆者の腕の見せどころでもあります。
私はこの導入部で、場を和ませ、聴き手から話し手への親近感を高める効果を狙うことが多いです。
そのためによく使うのは、上司の最近の様子が伝わるエピソードや、世間が注目している時事ネタなどです。どちらも情報の鮮度がとくに重要となる話題ですよね。
旬の話題に常にアンテナを張っておくことが必要ですが、もうひとつ重要なのは執筆のタイミングです。
できれば、納得するまで推敲する時間や、上司からの修正指示に対応する時間も十分に確保したいところです。
しかし、執筆のタイミングが早ければ早いほど、情報の鮮度は落ちやすくなってしまいます。
もっと練習を重ね、短い時間でスピーディーに原稿を仕上げるスキルも磨いていきたいものです。
「本論」では会の趣旨や聴き手に合わせた話題を
本論の部分では、会の趣旨を理解し、聴き手に合わせた話を展開するセンスが求められますよね。
例えば、聴き手が自社の役員や管理職であれば、会社のビジョンや経営戦略に触れたり、業績に関する厳しい話をしたりすることもあります。
しかし、聴き手が新入社員中心となる入社式であればどうでしょうか。
親しみやすい表現で激励や期待の言葉を伝えたり、明るい未来の話をしたりする方が受け入れられやすいと思います。
研修的要素の強い社内行事であれば、研修効果をより高めるための工夫を盛り込むのも有効なテクニックかと思います。
例えば、聴き手に「考えさせる」「手を挙げさせる」「名前を呼んで返事をさせる」といった場面を作ることで、スピーチが一方通行なものではなくなり、聴き手の集中力をより高く保つことができます。
尚、このように聴き手を巻き込むスピーチにする際、私は聴き手の反応(考える、手を挙げる、笑うなど)を想定して原稿に「ト書き」するようにしています。
これがあると話の間が取りやすくなるそうで、上司から好評でしたよ。
「締め」はより印象的な言葉で
聴き手の心を動かすスピーチ原稿を書くためには、エンディングも非常に重要ですよね。
本論で示したキーワードを繰り返す、感情を乗せた言葉で訴えかける、伏線を回収する、などといった手法を用いてスピーチを印象的なものに仕上げています。
社内行事でのスピーチであれば、上司の前に話す人の原稿を予め見せてもらい、結論の方向性を一致させるというのもオススメ。
こうすることで会全体に一貫性が生まれ、聴き手により強い印象を残すことができますよ。
秘書として初執筆したときの失敗談
さて、ここでひとつ、私が上司のスピーチ原稿を初執筆した際の失敗談をご紹介します。
任されたのは、会社の新年度集会での社長スピーチでした。
社員が一堂に会する大きな行事で、私はプレッシャーを感じながらも完璧な原稿を作ろうと意気込んでいました。
その日は遅くまで残業し、なんとか納得のいく出来に仕上げることができました。
ところが、翌日原稿を読んだ上司からはまさかの「書き直し」の指示。
何時間もかけて仕上げた私の原稿には、一文字の間違いもなく、構成も情報の精度も完璧だという自信がありました。
それなのに何がいけないのか……。
理由が分からず上司に尋ねてみると、「もっと自然な言葉で書かないとダメだよ。自分で声に出して読んでみた?」との返事が。
ハッとして自分の原稿を読み返してみると、確かに堅い言葉や書き言葉ばかりが並んでいて読み上げにくく、言い回しも必要以上に複雑になっていることに気づきました。
スピーチ原稿は、耳で聞いて分かりやすいものでなければなりません。
その基本を理解していなかったために陥ってしまった失敗です。
今では文を短くしたり、誰にでも理解しやすい言葉を選んだりすることに加え、細かな言い回しやテンポ感にも上司らしさを表現し、できるだけ自然な原稿を書けるように心がけています。
スピーチ原稿づくりは、秘書にとってやりがいのある仕事!
上司のスピーチ原稿執筆は、その性質上、自分の成果として周囲にアピールしづらく、モチベーションを保ちにくい仕事のひとつかもしれません。
しかし、会社のトップ層の言葉を預かり、社内外に広く影響を与えるという経験は、普通に生活していたらなかなかできるものではありませんよね。
トップに登りつめた人しか味わえないはずのその経験を秘書であれば体験できる、それはたとえ影の存在であっても大きなやりがいを感じられるものだと思います。
「秘書として重要な仕事を任せられている」という自信とプライドを胸に、これからも一緒に頑張っていきましょう!
それでは秘書のみなさん、今日もお疲れさまです!
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企業の秘書室に所属し、社長秘書や会長秘書を経験。その後、2023年に独立し、フリーランス秘書へ!働き方やライフスタイルのこと、自分なりの考え方など、企業秘書・フリーランスの両面から幅広いテーマで記事を書いていきたいと思っています!
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