なぜ、女性秘書=セクシーというイメージなのか?100年以上前の高等女学校秘書科から読み解きました

秘書のみなさん、こんにちは!ナミコです。

先日、秘書はどうして女性のイメージなのか?という記事を書かせていただきました。

その際、私は「なぜ、女性秘書はなんとなくいやらしいイメージなのか」ということも併せて疑問に思ったんです。
そこで今回はさらに絞って「女性秘書」についてのイメージについて考えてみました。

みなさんの参考になれば幸いです。

秘書=タイトスカートのスーツ?

私の周りではお会いしたことがないのですが、「秘書=スーツ」のイメージ。
さて、これはどこからきているのでしょう?

女性にとっては良い気持ちはしないと思いますが……敢えて!いわゆる18禁のDVDタイトルで「秘書」と検索してみると……。
ヒットするのは、超ミニのタイトスカートスーツに網タイツ姿のセクシー秘書の画像だらけ!
やたら胸を強調した、同じくタイトなシャツの第3ボタンまで開け、なぜか床に落ちたものを拾おうとしていたり、足を組んでこちらを見つめるものも……。

もはや爽快感すら覚えるほど、100%スーツ(と思われる服)!
悲しいかな究極の男性目線における秘書というものを見せつけられた気分でした。

しかし網タイツはともかく、毎日スーツの有名な秘書の方がいらっしゃるのかな……と考えてみると、確かにいらっしゃいました!
あまりにも雲の上の存在すぎて、今まで見上げることすらしていませんでしたが、日本中の秘書のトップ中のトップである内閣総理大臣秘書官!

女性国家公務員からのメッセージがこちらです。

確かに毎日スーツでお仕事されているに違いありません。
国会答弁でもお見掛けするお姿、失礼ながら私にはまったく親近感がありませんでした。
でも、下の記事を読んでみると、かなりリアルなイメージが湧いてきませんか?

大臣秘書官という仕事 | 公益社団法人 日本経済研究センター:Japan Center for Economic Research (jcer.or.jp)

大臣秘書官になってみた | NHK政治マガジン

仕える方が日本のトップ、ということだけで、小さく自分に置き換えてみるとお仕事内容は同じようなものかもしれません。
ただし、まず国家公務員試験が難関ということもあって、男性が多いようですね。

また、秘書検定を受験された方はご存じかと思いますが、面接試験には学生の方はリクルートスーツのような、目立たない色のスーツで臨むのが良い、と言われています。
前述の1日秘書官さんも、黒子に徹するため、とダークな色のスーツを選ばれたようです。

「秘書=スーツ」のイメージはわかったけれど……

では、なぜ女性秘書はいやらしいイメージなのか。

これにはやはり女性の社会進出が関係しているようです。
「秘書」というお仕事自体は明治時代からあったそうなのですが、そちらに関する面白い論文を見つけました。

大窪 久代 (Hisayo Ookubo) – 「『秘書』再考-歴史的、ジェンダー的視点から-」 – MISC – researchmap

少し長くなりますが、こちらを一部抜粋すると、

わが国における秘書教育は1915年、ある高等女学校の高等科に秘書部が設置され、英文速記、英文タイプ、商業英語、簿記などの科目を中心とした教育が行われたことがはじまりとされる。

東京YWCAが「秘書」の名称で職業訓練を始めたのは1951年頃、さらに1965年代に入ると、わが国は高度経済成長により技術革新が進み生産技術が飛躍的に向上し、多くの労働力を必要とするようになった。

経営層は職務を適切に遂行するために、あるいは自らの機能を強化するために秘書を必要とするようになった。

教育界においても秘書教育の重要性が模索されはじめ、それに応えたのが秘書教育を実施する短期大学や専門学校、専修学校であった。

とあります。

なかでも100年以上前の高等女学校秘書科の教育内容は、現在でも通用するような先進的で本格的な内容だと思いませんか?

戦後の教育改革後には、高まる秘書教育の期待に応えるため、秘書科という学科を設置した女子大学、短期大学もたくさんあったようです。
しかし、当時は寿退社が当たり前の時代、秘書教育を受けた女性=良妻賢母のお嫁さん候補として世の中に送り出す意図もあったのではないかと思います。

結果、男性ボスに若い女性となると、残念ながら「お嫁さん候補」としても見られていたようです。
「してほしいことをなんでもしてもらえる存在」という扱いで、セクハラにあたるようなことも秘書のお仕事とみなし、みなされている方もいたようです。

そのイメージも昭和から脈々と(悪い意味で)定着し、現在も冒頭のような画像が多数ヒットする状態になっていると想像しています。
上記の論文は秘書の歴史から(なんと、古くは大宝律令の話も出てきます!)秘書という言葉の由来、職務の男女差まで幅広く秘書という職業を研究されていて、とても興味深い内容です。
論文名をそのままコピペして検索すれば誰でも読むことができますので、ご興味のある方はぜひ全文をご覧になってみてくださいね。

こんな体験談もあります

また、私の身近な体験からは、背の高い女性は秘書には採用されない、という暗黙の了解が存在することに直面しました。
ボスよりも背が高いと、並んでお供した時にボスに貫禄がないように見える、という、今となってはバカらしい理由からだそうです。

当時、社長秘書が交代するにあたり、小柄だった社長よりもさらに小柄な女性を採用しなければならず、人事担当が悩んでいるのを見たこともあります。
応募してきた長身で優秀な女性が、そんな理由で切り捨てられているとは思いませんよね。

女性秘書の先輩方は、いくつもの壁を乗り越え、現在の秘書というお仕事を確立してくださっていたんだと思うと、なんだか胸が痛くなりました。

嫌なことがあっても、笑顔を忘れない秘書でいよう

令和の今では法制度が整備され、表向きは男女平等と言われるようになりました。
けれど未だに秘書官には女性が登用されただけでニュースになったり、その容姿やスーツの色に注目が集まるのを見ていても「人の意識はすぐには変わらないものだなあ」とつくづく思います。

実際飲み会の場で「何の仕事をしているの?」と初対面の人に聞かれて「秘書です」と答えると「おぉっ」謎のどよめきが起こったり、なぜかニヤニヤされたり……。
それだけではなく、親せきや知り合いレベルの人にまで「正直なところ、上司に誘われたことあるでしょ?」とか「お給料とは別にポケットマネーでお手当てがもらえるって本当?」と言われたことも……。

さらには「実はデキてるでしょ」「愛人なんでしょ」とか、悲しいかなあいさつ代わりのセクハラ発言を受けることなど日常茶飯事でした。
同じような経験をされた方もみなさんの中にいらっしゃるかもしれません。

人の意識を変えるのは難しいものですが、そんな時は「日本経済を支えてきた秘書をなめんな!」と心の中で思いつつ、日々笑顔を忘れず、お仕事していきたいものですね。

それでは秘書のみなさん、今日もお疲れ様です!

ナミコ

現在外資系商社にて、社長秘書、総務業務全般を約10年担当
突発的なトラブルすら面白がる前向きかつ好奇心旺盛な性格で、今日も楽しくお仕事中。
日々の気づきの中、秘書のみなさんと共有したいことを発信していきますね。

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