秘書のみなさん、こんにちは!ナミコです。
今回は『カタコト秘書の英語シリーズ」』第2弾といたしまして、英語から日本語へ意訳する時のコツをお伝えしたいと思います。
私の経験を元に書いてみますが、英語が苦手な秘書さんのお役に立てば幸いです。
編集部より:『カタコト秘書の英語シリーズ』第1弾記事はこちら
英語が苦手な秘書さんもコピペで簡単!英文メールフレーズ29選!
目次
上司に「これを訳しておいて」と言われたら!
みなさんは上司に「これをざっくり訳しておいて」と、ぼんやりした指示をいただいて頭を抱えてしまったことはありませんか?
私もそのような指示に悩まされていましたが、最近では少し気が楽になってきています。
その理由は、この4つのポイントに気がついたからです!
- What: 何について書かれているものなのか
- Whom: 誰に向けたものなのか
- When/Where: いつどこで読むのか
- Who’s: 書いたのは誰なのか
こちらを抑えるだけでで、英語が苦手な方も和訳がグンと楽になりますよ。
それではさっそく、この4つのポイントを解説していきたいと思います。
What: 何について書かれているものなのか
まず、ひとことで「英文」と言っても、以下のようにさまざまな種類の書類が挙げられます。
A: 規則、方針などの社内オフィシャル書類
B: 挨拶状、招待状など上司宛の私信
C: スピーチ原稿
D: カタログ・製品案内・取扱説明書
E: 財務書類
F: 社内報など少しカジュアルなもの
そして訳す際には、それぞれの目的や意図を考えながら言葉を選ぶことを意識してみましょう。
A(規則、方針などの社内オフィシャル書類)、D(カタログ・製品案内・取扱説明書)の場合
この2つは全社に影響がある重要な情報です。
こればかりは意訳はせず、一言一句単語をチェックしながら正確に訳す必要があります。
また、D(カタログ・製品案内・取扱説明書)に関しては、製品に詳しい方にアドバイスをもらえるとさらに安心ですね。
これらに関しては言葉のセンスは必要なく、とにかく正確に書き写すということを意識されるとよいかと思います。
E(財務書類)の場合
財務用書類は専門用語が多く、WEB翻訳では誤変換してしまうケースが多くあります。
そのため、私が個人的に一番苦手としている『What』です。
例えば会計用語で純利益を表す「bottom line」と言う単語は、決算書の最終行にあることからそのように呼ばれています。
しかしそんなことはカタコト英語の私にわかるはずもなく、変換された日本語を見て「最終行って何だ……?」としばらく固まってしまいました。
このような会計独特の用語は、会計英語の知識がなければすぐには判断できませんよね。
でも表示された日本語のおかしさには気が付くかもしれません。
現に私も「bottom line」だけを改めて辞書ツールで調べた結果、ふさわしい意味をようやく発見できました。
唐突に無関係な単語が出てきた場合、改めて単語ごとに複数の辞書ツールでチェックしてみることをオススメします。
B(挨拶状、招待状など上司宛の私信)、F(社内報など少しカジュアルなもの)の場合
この2つに関しては、弊社では「要約もOK」という場合が多くあります。
みなさんが和訳を引き受けた際は、以下の2点に注意すると上手くいきやすいかと思います。
- あらかじめ、上司の「和訳のお好み」を把握しておくこと
- 日時など主要な単語は、間違えないようにすること
また、返信の締め切りによっては正確さよりも、むしろスピード感が重視されることも考えられます。
Whom: 誰に向けたものなのか
和訳する際は、誰に読んでもらう文章なのかによっても言葉選びが変わってきます。
英語やカタカナ単語に抵抗がない方が読まれる場合
「コミットメント」「ガバナンス」など、ニュアンスで伝わりそうな英単語はカタカナのままにしておいても特に問題はないと思います。
逆に抵抗がある方が読まれる場合
しかし「カタカナだらけで結局よくわからない」とおっしゃる方には、きちんと「お約束します」「管理方法」など、対応する日本語をあてはめて訳さないと内容がうまく伝わりません。
読み手の意識にも気を向けることで、さらに伝わりやすい和訳にレベルアップしていきましょう!
When/Where: いつどこで読むのか
はじめから日本語の文章を書く場合でも、目的に応じて、文字数や言葉遣いを考慮するとわかりやすい文章になりますよね。
和訳の場合も、このようなポイントを押さえてみると上手くいきます。
- 役員が自席でじっくり読み込む内容なのか?
- 全社員が利用する食堂の壁に貼り出され、チラっと目を通すような内容なのか?
- お客様に向けた内容なのか?
- または上司が登壇して読み上げる資料なのか?
例えば役員がじっくり目を通す資料の和訳を頼まれた場合。
あまりにも平易な日本語ばかりを使っていると、秘書の国語力を疑われてしまうことにもなるかもしれません。
一方で、掲示物の場合は、要点を的確に訳す必要があります。
どのようなシチュエーションで読まれるものなのかも考えておかれると、ビジネスシーンに相応しい和訳になりますよ。
Who’s: 書いたのは誰なのか
「元の文章を書いたのが誰なのか?」を意識してみると、もうワンランク上「それっぽい言い回し」をすることができます。
原文を読みながら、こういったことをイメージしてみると上手く行きやすいですよ。
- 地位の高い方なのか?
- 男性か女性か?
- 新聞やwebの記者なのか?
日本語の方が、英語よりも圧倒的に言い回しが多いですよね。
そんな日本語を普段から使いこなしていらっしゃる秘書のみなさんなら、きっと英語でもふさわしい単語を当てはめられるはずです!
秘書として、業務で訳した実例をご紹介
ここからは、過去に私が和訳をしたものの実例をご紹介いたします!
なお、文中の「直訳」はWebの自動翻訳、「意訳」は私が実際に選んだ言葉です。
実例①英語スピーチの和訳
※会場はイメージです
勤務先の周年イベントで、外国人上司(男性)のスピーチを字幕にしたものの中から抜粋しました。
I would like to acknowledge our customers and thank you for your commitment and allowing us to service and help you become more successful.
▼直訳(Webの自動翻訳)
私は私たちの顧客に感謝し、あなたのコミットメントに感謝し、私たちがサービスを提供し、あなたがより成功するのを助けることを可能にします。
▼意訳(私が実際に選んだ言葉)
お忙しい中ご臨席賜りましたお取引先企業の皆様、誠にありがとうございます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
In conclusion, we are here to celebrate the last 50 years. What I really would like to do is celebrate the next 50 years of success for all of us.
We will do everything possible to help you achieve that success.
▼直訳(Webの自動翻訳)
結論として、私たちは過去50年を祝うためにここにいます。
私が本当にやりたいのは、私たち全員の次の50年の成功を祝うことです。
私たちはあなたがその成功を達成するのを助けるために可能な限りのことをします。
▼意訳(私が実際に選んだ言葉)
改めまして、本日当社の50周年を祝うためにご臨席賜りました皆様に、50年後もまた一緒に祝っていただけるよう、全力を尽くす所存でございます。
Today as we give thanks for the golden past and celebrate our good fortune, I seek your commitment for an even brighter future and pledge my support for realizing it.
Like the fully bloomed Sakura, let us rejoice and welcome a brand-new era.
▼直訳(Webの自動翻訳)
今日、私たちは※黄金の過去に感謝し、幸運を祝うとともに、より明るい未来へのあなたのコミットメントを求め、それを実現するための私のサポートを誓います。
満開のさくらのように、新しい時代を喜んで迎えましょう。
▼意訳(私が実際に選んだ言葉)
さあ、改めて50年※の歩みに感謝し、輝かしい未来へ向けて踏み出しましょう。
新たな目標に向かい、またその実現のために、私もあらんかぎりのサポートを約束します。
咲き誇る満開の桜とともに、新しい時代を迎えましょう。
※golden past = 50周年という意味です。
ご覧の通り、自動翻訳では不自然な単語が出てきたので、改めて調べました。
金婚式の「金」と同じく、50周年には金、25周年には「銀」を使います。
ちなみに75年はプラチナであるという点も結婚記念年と同じですよね。
そう考えると覚えやすいと思いませんか?
実例②日本の童謡を英訳
上でご紹介したスピーチが披露されたイベントは、桜の季節に行われました。
その際、親日家の上司が「どうしても『さくらさくら』の歌をゲストのみなさんと一緒に歌いたい!」と言い出したんです!
そのため急遽スピーチの和訳に加え、歌詞を英訳して掲示することになりました。
大慌てで英訳したものがこちらです。
さくら さくら やよいの空は
見わたす限り かすみか雲か
匂いぞ出ずる いざや いざや
見にゆかん
↓実際の英訳
Cherry blossoms, cherry blossoms
Across the spring sky
As far as you can see
Is it a mist, or clouds?
Fragrant in the air Come now, come now
Let’s look, at last!
実際の例をご覧になっていかがでしたでしょうか。
原文と比べ、単語としてはかけ離れてしまっている部分もありますが、当時の日本人上司からは「いいセンスだ」とお褒めの言葉をいただきました!
秘書の英訳で大切なセンスとは?
私は和訳とは、英語力よりも日本語の言葉選びのセンスが大切ではないかと思っています。
そのためにも、日ごろの秘書の仕事を通して日本語の独特の言い回しや美しい表現を学び、まずは日本語の語彙を増やしていきたいものですね。
それでは秘書のみなさん、今日もお疲れさまです!
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現在外資系商社にて、社長秘書、総務業務全般を約10年担当
突発的なトラブルすら面白がる前向きかつ好奇心旺盛な性格で、今日も楽しくお仕事中。
日々の気づきの中、秘書のみなさんと共有したいことを発信していきますね。
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