不測の事態に備えて!上司の終活 ~「お別れの会」について秘書の体験談~

秘書のみなさん、こんにちは!ナミコです。

みなさんは秘書として、社葬やお別れの会に携わった経験はありますか?
縁起の悪い話ではありますが、特に役員が在職中に亡くなった場合には、秘書が関わらざるを得ないイベントでもあります。

経験しなくてもいいに越したことはありませんが、いざと言うときのため、お役に立てれば幸いです。

社葬?合同葬?お別れの会?!

会社としての葬儀、と言えばみなさんは社葬を思い浮かべるかもしれません。
私も自身が経験するまではそう思っていました。

しかしご存知の方も多いかと思いますが、会社としての葬儀には大きく3種類あるんですね。

①社葬

会社が施主となって行う葬儀。
今のご時世には大勢の参列者が集まる社葬はふさわしくないため、この形態をとられる会社も少ないようですね。

社葬についてはMikaさんの記事でも詳しく書かれていますので、ぜひご参考になさってください。
突然の訃報、秘書としてどう対応するべき?社葬は事前準備が命!

②合同葬

ご遺族と企業とが合同で執り行なう形式の葬儀。
会社とご遺族双方が費用を出し合い、合同で開催する葬儀。

3種類のうち、唯一故人の顔を見て直接お別れができるのが特徴ですが、スケジュール的には1番タイトとなります。

③お別れの会

故人の宗教や形式にとらわれず、ホテルなどの会場で会食を含めて行われる1番カジュアルな形態。

このうち私が経験したのは③のお別れの会です。
それでは具体的にご紹介しますね。

上司の終活に秘書としてどう対応するか

上司 葬式

私は以前の勤務先で創業社長(当時は相談役)が亡くなった際、「お別れの会」に携わった経験があります。
当時80代というご高齢だったこともあり、なんと生前にご本人から「もし自分が在職中に亡くなった際はこうしてほしい」というご希望を伺っていました。

メモを取っておくように言われたため「縁起の悪いことをおっしゃらないでくださいよ~」と言いつつ、顔は笑いながらも耳はダンボにして、一言一句聞き漏らさぬよう必死でメモを取りました。

内容はご自身がお好きな花や、音楽に始まり、創業当時の苦労話や思い出に残っているプロジェクト、期待している社員の名前など、社史にでもできそうなものでした。

さらにカメラがご趣味だった相談役が「これ、いいだろう?」と1枚のお写真を取り出されました。
そう、遺影用のお写真までご準備されていたんです!
もちろん後日、これらが大いに役立ったことは言うまでもありません。

その後、相談役は任期を全うされ、お元気に退任されました。
秘書として、会社生活を終えるまで無事にお仕えできて嬉しかったのを覚えています。

そして私はそのタイミングで、総務部長と社長に、相談役からメモと写真をお預かりしていることを伝えました。
やはり在職中は他言するのも憚られ、メモも写真も私の机の奥にしまったままにしていたんです。

しかし何といっても創業社長。
仕事を離れても、万が一の際は会社として何らかのお見送りをするであろうことは予想できました。
私も日々の忙しさにかまけて、せっかくの相談役の「終活」を無駄にしないようにと心に留めていました。

そして「いざという時」が……!

その相談役は、会社を離れて約1年後にお亡くなりになりました。
連絡を受け、社長と総務部長がご自宅に弔問しました。

その際に故人が生前お話しされていたことや、写真までも用意されていたことをご遺族にお伝えしたそうです。
ご遺族も、故人の段取りの良さに驚かれていたとのこと。
その場でご遺族のご意向も確認した上で、会社として「お別れの会」を開催するということが決定しました。

会場は普段から賀詞交歓会や接待でお付き合いがある近隣のホテルに決まりました。
私も元秘書として、お預かりしていた写真と清書したメモ、年賀状手配等の際に使用していた名簿を持参し、打ち合わせに参加しました。

葬儀社の担当者に「ここまで生前にきちんと準備されている方はなかなかいらっしゃいませんよ」とお褒めの言葉をいただき、自分も褒められたような、晴れやかな気持ちになりました。
ご自身亡き後のことまで考えてくださっていた相談役を、秘書として今でも尊敬しています。

また会場となったホテルは、故人も生前ラウンジを利用するなどしていて、顔なじみの方も多くいらっしゃいました。
そのため、とてもスムーズに話が進み、思い出話にも花が咲きました。

葬儀社も紹介していただけたため、実際の作業はほとんどお任せ。
元秘書としての仕事は、電話やメールでの確認だけで済んだのはありがたかったです。

このような突発的な事態には、普段お付き合いがある方に担当していただけるというだけで、肉体的にも精神的にも疲労度が全く違います。

日頃懇意にしているホテルやお店、業者さんがいらっしゃいましたら、どんなサービスがあるのか普段からアンテナを張っておき、いざと言うときに頼れるかどうか考えておいてはいかがでしょうか。

全社挙げての「お別れの会」

さて葬儀から約1か月経った頃、いよいよ「お別れの会」が催されました。
故人の綿密な「終活」のおかげで、お好きだった花で会場を飾り、献花用にも同じ花を別の色で用意。
お気に入りだったCDをBGMに、お名前が挙がっていた縁の方々を多数お招きし、盛大に開催することができました。

もちろん祭壇からは、託された遺影が笑顔でお出迎えです。

また、受付台には役員室にも飾っていたお気に入りの写真を掲示。
さらにはご遺族にもお手伝いいただき、懐かしくも貴重な写真も選別して展示し、列席者にご覧いただきました。
その中には、会社の周年行事、旧社屋での集合写真や初期の社員旅行のスナップなどもあり、故人の思い出に浸りました。

社長や特に親しかった役員のスピーチでは、お別れの場には似つかわしくない笑い声もそこかしこで起こる、和やかな光景も見られました。

食時には苦楽を共にしたベテラン社員のテーブルに、故人が好きだった銘柄の日本酒がふるまわれ、思い出話とともに堪能されたようでした。
終わってみれば故人の遺志通り、明るく賑やかにお送りすることができたのではないかと思います。

また費用面は会社が負担し、当日お越しいただく方へは一律で会費を頂戴するというスタイルに決定しました。

もっと丁寧に受付するべきでは、との意見も出ましたが、なにしろ故人は会社に人生を捧げたと言っても過言ではない創業社長。
出席者も膨大な数が見込まれました。
そこで「受付の手間や待ち時間も極力減らし、できるだけゆっくりお別れしていただいたほうがいいのでは?」という担当者からのアドバイスに全員納得し、このスタイルに落ち着きました。

お陰で我々社員も献花し、偉大な創業者にゆっくりお別れをすることができました。

不謹慎!?でも大事な上司を想う秘書だからこそ

この経験を踏まえ、不謹慎ながら(特に高齢のボスにお仕えしている方は)何かの折に「終活」の話題になったら、失礼にならない程度にこっそりメモを取られることを強く!オススメいたします。

単語でも、イメージの1部分でも、とにかく記録に残しておくと万が一の際スムーズに対応できます。

もちろんお元気でリタイアされ、そんなメモがめでたく不要になれば送別会で笑い話にできます。
そんな上司との信頼関係も素敵
だと思いませんか?

万が一の際、みなさんが慌てず対処できることをお祈りしております。

それでは秘書のみなさん、今日もお疲れさまです!

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ナミコ

現在外資系商社にて、社長秘書、総務業務全般を約10年担当
突発的なトラブルすら面白がる前向きかつ好奇心旺盛な性格で、今日も楽しくお仕事中。
日々の気づきの中、秘書のみなさんと共有したいことを発信していきますね。

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