Hisholioインタビュー:伊藤早央梨さん

今回のHisholioインタビューは銀行で勤務する伊藤さんに登場いただきます。
伊藤さんは秘書として勤務していた際に「秘書は上司の健康管理をサポートできるものなんだろうか?」という疑問を抱き、なんと大学院に進学して研究までしてしまったんです。

そのきっかけとなった背景、実際に仕事をしながら大学院に通った体験談、そして、研究の結果についても……。たっぷりとお話をお伺いしました!

 

秘書になったきっかけは、突然の異動。最初は不安で億劫な日々だった。

笹木:
伊藤さん、今日はよろしくお願いいたします!伊藤さんはすでに秘書職から離れていらっしゃるんですよね?

伊藤さん:
こちらこそ、よろしくお願いします!
そうですね、同じ会社で勤務しているのですが、異動になってすでに秘書からは離れています。
新卒で入行した際に支店に配属されて、窓口でお客様の担当をしていました。楽しく勤務していたのですが、4年目の時に異動の辞令が下りて、秘書になったんです。
正式の発表前に上司から「伊藤さんに異動がありますので、スーツを用意してください」と言われたんです。なんでスーツ!?と思っていたら、異動先が秘書室だったんですね。

笹木:
秘書室に異動と聞いて、どんなお気持ちでした?

伊藤さん:
まったく希望していませんでしたし、突然すぎて「マジか!」と思いました。笑
当時の私は「秘書」という仕事に花形というイメージを持っていたんです。
だから、秘書は特別な訓練を受けた人がなれる特別な仕事だと思っていたんです。自分に務まるのだろうか……、という不安と同時になんだか億劫な気持ちまでこみ上げてきたのを覚えています。

笹木:
秘書としてついた上司はどんな方だったんですか?

伊藤さん:
異動先は秘書室で私の担当は当時の会長でした。ご年齢は70代の方でしたね。
とっても穏やかで、とっても優しく、とっても良い方でした!
私は会長のお子様とお孫様のちょうど間ぐらいの年齢だったこともあり、とてもかわいがっていただきました。そんな感じでしたので、上司に怒られたりすることもなかったですね。

笹木:
穏やかな職場!いいですね。
上司とランチなどお食事に行ったりしたことはあるんですか?

伊藤さん:
ありました! ただ、私と2人だけだと周りの目もありますし、他の社員からも良いように思われないかもしれないですよね。そんな理由で、私の1年後輩の女性社員と3人で、2か月に1回程度お食事に行っていました。
「いつも会食の予約をしてくれてるけど、実際にお店に行ったことないでしょ? どこでもいいから行きたいお店を予約していいですよ」とおっしゃってくださって。
もう容赦なく良いお店を予約して美食を堪能させていただきました。笑

会長秘書として抜擢後、イメージとは違う秘書室に驚きも。

笹木:
羨ましいですね…! 秘書室での一日はどんな感じでしたか?

伊藤さん:
朝は専用車でご出社なさるのですが、駐車場を車両が通ると秘書室内にピーピーという音が鳴るんです。同時に秘書室内にあるモニターで車番が確認できます。
会長のお車だな、と認識したら秘書室内にある操作盤でエレベーターを車寄せのある地下へ下ろします。そうしておくとちょうど会長がお車から降りたタイミングでエレベーターに乗っていただけるんです。

役員フロアに会長がご到着なさったら「おはようございます」とお迎えして、用意したお茶とおしぼりをお出しします。同時に本日のスケジュール確認を行っていました。

そんな感じでしたので、他の秘書さんの働き方と比べると厳格な感じですよね! ちょっと古風だったかもしれません。

笹木:
確かにお話を聞いてると割とおだやかな働き方だったのかもしれませんね。

伊藤さん:
そうですね。他の企業の秘書さんにお話を聞くと「全速力でオフィスを走る」とか「スケジュールが重なりすぎてテトリスのよう」などという働き方の方もいらっしゃるようですよね。私の場合は30分面談をなさったら、30分のブレイクを入れるような感じでスケジュールを組んでいましたし、すごく目まぐるしいという思いはなかったですね。

笹木:
「秘書室」と聞くと殺伐としたイメージを持つ方もいると思いますが、実際どうでした?

伊藤さん:
私が異動してきた当時はあまり私語などもなく、静かで緊張感のある雰囲気でした。みなさん優しい方々だったんですけどね。
その後、だんだんと同期や後輩たちが秘書室に異動してくるようになり、仲良くスムーズに調整業務などができるようになってきたんです。和気あいあいとみんなで仕事ができて楽しかったですね。

笹木:
会長秘書って社内でどんな立ち位置だったのですか?

伊藤さん:
うーん、やっぱりオフィスの中でも目立つ存在ではありますよね。会長のお時間を優先的に取ってもらおうという下心でお菓子などをくださる社員の方もいましたね。
でも、こちらは仕事ですので、そこは分け隔てなく優先順位を守って入れていました。お菓子は美味しくいただきますけどね。笑

笹木:
そういう秘書としての在り方とか心構えはどうやって学んだのですか?

伊藤さん:
特に社内で研修などがあったわけではないですし、教育をしてくださる立場の方もいらっしゃらなかったです。
ただ、私は秘書になってから秘書検定を3級、2級、準1級と取得していったのですが、その資格取得の勉強の過程で学んだことや知識が実際に役立ったと感じています。

秘書としての失敗談と、抱えていたストレス・悩みとは

笹木:
なんだかお話を聞いていると幸せな夢の世界のストーリーのように聞こえてくるんですけど。笑
何か失敗談とか怒られた話とかはないんですか!

伊藤さん:
うーん、特には……。
あ、でも1度小さい規模の飛行機の予約をした時に座席の指定をうっかり失念してしまったことがあったんです。その結果、当日唯一の空席だった最後列のお席にお座りになったとご報告いただきました。でも怒られたという印象はなく「座席の予約がされていなかったようなんです」と優しくおっしゃられただけだったんです。

それでも私としてはミスだと受け止めてちょっと落ち込みましたね。
でも、本当にそのぐらいでしょうか……。なんだか今振り返ってみても働きやすい良い職場だったんですね。笑

笹木:
(突いても何も出てこない…!)では、当時ストレスとか悩みとかなかったんですか?

伊藤さん:
ありましたよー!
やっぱりずっと緊張していましたね。スケジュールをミスしてはいけないとか、お客様がいらした時には丁寧に対応しなくちゃなどと考えて、本当に1日中気が張っている状態でした。
それで、秘書室に異動になってから数か月の間にすごく体重が落ちてしまったこともありました。

笹木:
なるほど。ミスがなかったからこその快適な職場環境だったのかもしれませんね!秘書を離れたきっかけは何だったんですか?

伊藤さん:
3年半秘書として勤務して、最後は人事異動で秘書室を出ました。
秘書として思い残すこともなく、達成感もあったので異動となった時には晴れやかな気持ちで秘書室を出ました!
次は営業としてお客様に直接お会いする職種になったのですが、すごく楽しかったですね。
秘書のお仕事も楽しかったのですが、どうしても自分だけではコントロールできない部分がありますよね。営業は自分の努力が成果に直結するのでやりがいに繋がりました。

大学院への進学を考えたきっかけは、秘書時代の上司にあった!

笹木:
ところで、大学院に進学することはいつごろから考えていたんですか?

伊藤さん:
入学する1年ぐらい前から計画していました。大学院を受けるために必要な書類を集めるところからのスタートでした。また、当時の上司が行きたかった学校の卒業生でいらしたので、推薦状をお願いしましたね。その結果、秋ごろに合格が決まったので会社その旨を伝えました。

笹木:
そもそも、大学院に行こうと思ったきっかけはなんだったんですか?

伊藤さん:
秘書室に勤務していた時、ご自身の体調管理をおろそかにしている役員の方を見ることがあったんです。その時に「こんなにご多忙な方々は健康管理をどうしてるんだろう」と疑問に思ったんです。中にはせっかく昇進や昇格のお話が出たのに、体調を理由に辞退なさる方もいて……。
秘書として健康面で何かサポートできないのだろうか、という思いから「秘書は上司の健康管理をサポートできるのか」を研究してみたい!と考えるようになりました。
また、営業に異動になった後に「衛生管理者」という国家資格を取得する必要があったんです。その勉強をした時にも健康に関する自分の知識が全く足りていない!と気づき、大学院でもっとちゃんと勉強したいとさらに感じたことも理由になりましたね。自分なりに調べたところ、早稲田大学の大学院を見つけたという経緯です。

笹木:
なぜ大学(学部)じゃなくて、大学院を目指したのですか?

伊藤さん:
早稲田大学には社会人向けに1年で修士課程が取れる特別なコースがあったんです。
社会人の経歴を持った人のみが通えるコースとのことだったので、今まで働いてきた自分の強みも生かせるかなと思い、大学院進学を選択しました。

大学院の試験はこんな感じ!
伊藤さんが入学前に教授に伝えた研究テーマとは?

笹木:
試験はどんな感じなのですか? 筆記試験もあるのですか?

伊藤さん:
小論文というか「研究計画書」というのを先に提出するんです。大学院って入学前に自分で先生を決めるんですよね。面接もその先生がしてくださいます。大学にはたくさんの先生がいらっしゃったのですが、私は自分の研究テーマを考えて健康科学の分野の先生に師事することにしました。

笹木:
そういう仕組み何ですね!入学前に研究テーマを話したとき、先生はどんな反応だったんですか?

伊藤さん:
「おもしろいですね!今まで研究した人がいないテーマですよね、やってみましょう!」という感じにおっしゃっていただいて合格となりました。
先ほどお話した通り修士課程は1年間ですので、その期間を通してゼミが週に1回あり、修士論文を作っていくという日々でした。毎週パワーポイントで「こんな研究をします」という資料を作ってゼミで発表します。先生だけではなく卒業生の方々も参加してくださって、ご意見を頂きながら書き上げてきました。

笹木:
うわー、なんか大変そうですね……。

伊藤さん:
すごく大変でしたー!!!「もっとアカデミックにロジカルに物事を考えてください」とか言われるんですけどね。そんなこと今までやったことないし、どうしたらいいんだろう!!という感じでした。「そんな風に言わなくてもいいじゃないかー!」という感じでした。笑「論文をたくさん読んでください」とも言われるんですが、何を読めばいいのかも分からず、けっこう辛かったです。

学業と仕事の両立
苦労もあったけど、仕事をしながらで良かったと思う瞬間も

笹木:
大学院と仕事の両立で苦労したのはどんなところですか?

伊藤さん:
やっぱり課題が多くて、提出のために早く起きたり、夜遅くまで作業してた時期は大変でしたね。オフィスでも、お昼休みにもパソコンで作業していたので、周りの人に「休み時間なのに必死に何をやってるの?」と不思議がられていました。笑

先ほどもお伝えした通り、ゼミで「たくさん論文を読んで」と言われていたので、検索して印刷して、読み込んで、ということにも時間を割いていました。
当たり前なんですがちゃんと読んでいないとバレるんですよね……。笑
「もう無理! やりたくない!」って思ったことも何度もありました。でもそんな時でも朝になったら出社しますよね。
そうするとちょっと論文から頭が離れて気が紛れるんです。働きながらの勉強は大変でしたが、仕事をしながらでよかったなと思う瞬間もたくさんありました。

笹木:
大変そうですね……。逆に楽しかったことってありますか?

伊藤さん:
研究を通して最も楽しかったのは秘書さんたちへのインタビューです!
自分が秘書として勤務していた頃、他の会社の秘書さんとお話をするタイミングってなかったんです。今回の研究を通してみなさんにお仕事のことなどお伺いできて本当に楽しかったです。

ただ、インタビューするだけなら楽しいのですが、その後処理が大変で……。
まず文字起こしをして、それを印刷したものを1行ずつハサミで切っていくんです。
その短冊状の紙を全部グループ分けしていく作業をしました。
「この秘書さんのこの発言と、こっちの秘書さんのこの発言は同じような内容だな」という感じで。

そして、その中からどんなことが言えるのかを言葉として抽出していくという研究手法を使いました。お昼休みにオフィスで印刷したものをひたすらチョキチョキと切っている日もありました。完全に怪しいですよね。笑

笹木:
どうでしょうか?大学院全体を振り返ってみての感想は?

伊藤さん:
私の最終学歴は短大だったのですが、その時とは大違いでした。今回は自分が本当に勉強したいことのために入学したので、まず意気込みが違いましたし、なにより自分で学費を払いましたからね!
「今までがんばって稼いできたお金で支払っているんだから授業中眠いなんて思ったらもったいない!」などと思って本当に真剣に取り組みました。

もちろん辛い時もあったんですが、卒業式の日はとっても天気が良かったんです。そんな中でアカデミックガウンを着てセレモニーができて、もうその時の達成感は言葉にできないほど大きかったです。
「1年間がんばってよかった!」と心の底から思いました。

伊藤さんの研究テーマ「秘書は役員の健康管理をサポートできるのか」、その結論は……!?

笹木:
「秘書は役員の健康管理をサポートできるのか」というテーマでしたが、研究の結果は?

伊藤さん:
諸条件はありますが「サポートできる!」というのが結論です!
もちろん役員さん側も「サポートしてもらいたい」というお気持ちがあると、より効果は出ると思いますが、そうでなかったとしても例えば秘書がスケジュール管理で工夫したりすることでサポートはできると感じました。
でも、やはり上司と秘書との関係性に起因するところが大きいとも感じました。上司側はより秘書のことを信頼していく、秘書も上司のために一歩踏み込んでいくというような関係性が一般化するといいなあ、とも思っています。

また、秘書さんたちからは「上司の健康サポート」と言われても何をしていいのか分からない、という声が多かったんです。その点についてはマニュアルなどに落とし込んで、秘書さんたちにも分かりやすいガイドラインが必要なのかもしれないと感じました。

まずはこの研究結果を多くの秘書さんに広めたい、知ってもらいたい!と思っています。
秘書さんたちに向けて「論文発表会」ができるといいですね!

笹木:
やりましょう!今日はありがとうございました!

編集長

IT企業での秘書経験を元に2019年にHisholioを立ち上げました。
秘書さんが元気になれる情報や秘書業務に役立つ情報を発信していきます。
Hisholioを通して、秘書のみなさんの能力や成果が最大限発揮され、もっともっと活躍してもらえる世界を創っていきたいです。

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