秘書になるために、そして秘書としてキャリアアップするために、突破しなければならないのは採用試験ですよね。中でもポイントとなるのは、やはり「面接」です。
ここでは、実際に秘書の採用を担当している人事担当者の方と、その会社での面接を経て秘書として就業しておられる方に「面接」についてのお話やエピソードを伺ってみました。
一例として、ぜひ参考になさってください。
目次
採用担当者Aさん「面接では、実務スキル・ヒューマンスキルを丁寧に拝見します」
Aさんは大手メーカーB社の人事部で中途採用をご担当されています。主に地域限定社員の採用に関わる機会が多く、秘書の採用にも何度も携わっていらっしゃるそうです。
「当社では、事業部長(および一部の部長)クラスの秘書を外部から中途で採用することがあります。元々新卒で入社した社員が秘書を務めているケースもありますが、より適性があり経験豊かな秘書を外部から採用したいというニーズは以前よりも高まっています。その分、上司になる人たちからの期待は高く、特に面接にはかなり比重を置いて慎重に選考しています。当社の場合、面接は3回程度実施しています。」
秘書への第一歩!緊張の一次面接!
面接官は、人事担当者(私)と該当部門の課長クラスの2名で担当します。
一次面接では主に「ビジネスマナー」「コミュニケーションスキル」「実務スキル」のチェックを行います。
初対面の印象や挨拶の仕方、服装や身だしなみを注視しつつ、伝えたいことを分かりやすく話せるかどうか、相手(面接官)の質問意図のとおり回答ができるかどうかを確認します。
課長からは、会社の中での該当部門の役割や事業内容を説明の上、課長から見た上司の印象も紹介し、応募者の方に職場や上司のイメージをしていただけるよう留意しています。その上で、こちらが求める実務レベルを満たしていただけるかどうか、これまでの経験をできるだけ具体的にヒアリングするようにしています。その際はどんなご経験があるかだけではなく、こなしていた量や求められていたスピードも確認できるように色々な方向から質問します。
例えば、会議のセッティングひとつとっても、どれくらいの頻度で発生していたのか、参加者の顔ぶれや人数、リスケジュールになることは多かったのか、その調整にどの程度関わっていたのか等、かなりしつこいです(笑)。
とのこと。面接官がどんなところを見ているのか分かると面接対策もしやすいですね!
実務経験やスキルのチェックはどんな企業でも面接の場で必ず行われますので、事前準備では項目の洗い出しだけではなく、頻度や関わり方、日や週、月の単位での流れを再確認しておくと、面接での回答がスムーズになりそうですね!
一次面接通過。次はいよいよ二次面接!
引き続き、B社人事部のAさんのお話にお聞きしていきましょう。
二次面接で登場するのは、人事部長と秘書室長の2名です。
当社の秘書として求められる基本的なレベルをクリアしていれば一次面接を通過し、二次面接に進みますが、実はこの二次面接がなかなかの難関です。人事部長は(実際は違うのですが)少し高圧的で言葉の少ないキャラクターで臨み、秘書室長(社長や役員クラスの秘書グループのトップ)は実像通り知的で人当りのよい雰囲気で対応します。
人事部長の少々不親切な質問についても、不快な表情を見せずカドを立てずに上手く対応頂けるかどうか、理解できなかった質問に対して感じよく聞き直せるかどうかなど、イレギュラーの場面での対応力が試されます。
秘書室長は、秘書室との連携に問題ないかどうかをシビアにチェックしつつ、情報保護・機密保持の面でも安心してお仕事をお任せできるかどうかを重視しているようです。具体的には、前職で知り得たであろうことをさりげなく質問し、さらっと機密情報を回答するような方はその時点でNG。面接官を不快にすることなく、上手に回答回避できるかどうかを見ているとのことです。
面接官がキャラクターの設定までしているなんて驚きですね!
確かに、秘書の仕事はルーティンではなく思わぬイレギュラーが発生することも多いですよね。また色々なタイプの人との円滑なコミュニケーションが求められることも事実。面接の場面でも意図的に試されることがあると留意して臨むとよいでしょう。
最後まで気が抜けない!最終面接へ!
読んでいるだけで緊張してきそうですが、二次面接に合格したと連絡があったら、最後の段階です。最終面接の様子もAさんにお聞きしてみましょう。
いよいよ最終面接では、実際の上司となる事業部長が登場します。
ここまで到達すれば、あとはもう上司との相性ですので、応募者の方にはいつも「ありのまま自然体に臨んでください」とお声掛けしています。
上司によって秘書に求める要件も様々で、もちろん必要スキルを満たしていることは大前提ですが、どんどん仕切ってくれて任せっぱなしにできる秘書を望む上司もいれば、とにかく控えめに、指示することを着実にこなしてくれる秘書が良いと言う上司もいます。
人事担当者としての本音を言えば、どんなタイプを求められてもフレキシブルに順応できる方がベストです(一次面接・二次面接でも当然その視点でもチェックします)。そして実際に採用決定となったのもみなさんフレキシブルな方々ばかりです。
どうでしょうか?最終面接まで通過できそうな気がしてきましたか?
今まで秘書として経験を積んできた方なら、特別な準備をしなくても当たり前に対応できる内容なのかもしれませんね。
中途入社の秘書Cさん「自分のことをじっくり理解してもらえる面接で安心して入社できました」
さて、ここまでは採用する側の方にお話をお伺いしてきましたが、ここからは視点を変えて面接に挑んだ方の体験談をお伺いしていきましょう。
Cさんは中途採用でB社に入社し、現在は購買系事業部の事業部長秘書として活躍していらっしゃいます。
B社に入社して2年になりますが、以前は派遣社員として大手企業の役員秘書のアシスタントとして3年就業しました。アシスタントながらも色々な仕事を任せてもらい、やりがいも感じていましたが、もっと主体的に秘書業務を極めたいと思い、転職を決意しました。
B社の採用面接の時のことは今でもよく覚えています。一次面接は、最初はとにかく緊張して舞い上がりそうになったのですが、落ち着いて面接官の目をしっかり見てお話するように心がけていたらだんだんと落ち着いてきました。質問に対して、丁寧に、過不足なく回答できるように心がけました(事前に、自己分析や経験の洗い出しをしっかり行っていたことが活きたと思います)。
二次面接は、序盤から人事部長にビビりまくってしまいました。無表情だし何をおっしゃっているのか分からない場面もあって戸惑いましたが、理解できなかったことは失礼を詫びながら素直に再度のご説明をお願いしました。入社後に再会した人事部長は面接の時とは全くの別キャラでびっくりしました(笑)。
『君にちょっと意地悪な質問した時の「理解力不足で申し訳ありませんが、もう一度ご質問願えますか?」っていう柔らかい言い方の対応は感じがよかったよ』と褒めていただけました。(あの時は「鬼のような方」と思っていてすみません…。)
面接官の思惑通り、応募者側は面接中に大変なプレッシャーを感じているのが分かりますね。そんな場面でも落ち着いて、丁寧に対応したCさんは本当に秘書としての素質があるなあと感じてしまいます。
ネガティブなことも表現次第でポジティブな印象に!
引き続き、Cさんに入社面接について記憶に残っていることをお伺いしました。
また、前職の直属の上司(役員秘書)がどんな人だったかという話となり、実はとてもクセの強い厄介な人だったのですが、できるだけネガティブな表現にならないよう、今後に向けての学びとなる良い出会いだったという感じでお話しするよう心がけました。
最終の事業部長との面接は、もう雑談オンリーでした。それまでの二回の面接を経て、B社への愛着も湧き始めていたこともあり、自分自身リラックスして臨めたのも大きかったと思います。
最後に「どんなタイプの上司と相性が良いと思いますか?」と質問され、「どんなタイプの方ともうまくやっていけるのがプロの秘書だと思いますし、どんな方でも大歓迎です!」と張り切って答えたところ、上司は大爆笑。
今でも宴席などで語り継がれています(笑)。
Cさんのお人柄が伝わる素敵なエピソードですね。面接中に笑いが起きる和やかなムードが伝わってきます。上司となる事業部長もこれから仕事をしていくパートナーとして、楽しく仕事をしていける予感を噛みしめたのではないでしょうか。
「実は……」秘書Cさんの就職活動の裏話
B社とはこのようにトントン拍子で選考を進んでいったCさんですが、実は同時進行で他の企業の秘書ポジションも受けていたそうです。
ちなみにB社と同時進行で他に2社ほど秘書の採用面接を受け、1社は採用内定、もう1社はお見送りという結果でした。
内定した会社は上司の面接1回だけで決まってしまい、良い会社だとは感じましたが、B社の方が面接を重ねて自分をじっくり知ってくださいました。その上での採用だったことで安心感があり、B社への入社を決めました。
お見送りとなってしまった会社は、面接も和やかで手ごたえがあり、今でもなぜ不採用だったのか分かりません。でも、ここはもう深く考えず、面接はお見合いのようなもので、要は相性・ご縁だと思って、今はひたすらB社で頑張るのみです!
就職活動当時のことを振り返ってお話しくださったCさんですが、現在ではB社の事業部いようです。
面接は緊張するし、履歴書の作成も面倒だし…就職活動って気が重いですよね。でもCさんのようにがんばった先には素晴らしい出会いが待っているかもしません。
就職活動は「縁と運とタイミング」。迷っているなら思い切って始めてみましょう。
秘書のみなさん、今日もお疲れ様です!
日系、外資の大手企業にて役員秘書、本部長付秘書など経験多数。同時に多くの秘書さんとのネットワークもあり、秘書さんからの悩みに答えることも。秘書はAIでは決して完全カバーできない、奥の深い素敵な仕事ですよね♪
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