秘書のみなさん、毎日お疲れ様です!
日々の業務で忙しいとは思いますが、たまには秘書である自分や、秘書のお仕事を振り返ってみるのも大切な時間かと思います。
今回は私自身が秘書としてがんばってきた歴史を振り返りつつ、ターニングポイントになった点をお話ししてみますね。
秘書は、常に先読みして上司をサポートする立場ですが、上司もまた部下をよく見ているもの。時々ハッと気づかされたり、その後の人生が変わるような言葉をかけていただくことがあります。
今回は私が実際に、幸運にも三人の上司からいただいた、
「秘書を目指そうと思った言葉」
「働き方を考えるようになった言葉」
「新しい視点で考えるようになった言葉」
以上の3つの言葉をご紹介させてください。
目次
秘書を目指そう!と思えたあの言葉
まだ部付きアシスタントだった時の話です。一人目の上司とは二年半ほどご一緒しました。
私はその上司にとっても、部署にとっても、初めてのアシスタントでした。同様に、私にとっても秘書は初めて経験する職種。転職を機に職種が変わって手探りの毎日でした。
上司は仕事に対して情熱的で、幅広い専門知識を持ち、部下からはスーパーマンと言われるような人でした。喜怒哀楽がはっきりされた方で、人間味溢れるその性格から、部下の方々に愛されているのが伝わってきました。日頃から上司でもあり仲間という絆のようなものを感じましたし、私もその一員として働けることが嬉しくもありました。
部も大きくなった頃、組織変更が行われ、部署はそのままで上司だけが他部署の上司と変わることになりました。
役員秘書でしたら、上司と一緒に異動をすることが一般的なのかもしれません。
しかし、この時の私は部に所属するアシスタントでした。当然、部署の皆さんと一緒に残りました。
部署内の仕事も多くてやりがいもありましたので、環境に変化がないことに少しホッとしましたが、今までの上司と離れることに対し、それまで他の職種では感じたことのなかったショックに自分でも驚きました。
部署を離れる上司から、秘書の私へ一言……
そんな私に、上司はこんな言葉をかけてくれました。
「新しい上司は僕と正反対の性格だけど、きっと僕よりいい上司になると思うよ。」
これから環境が変わるご自身のほうが大変なのに、私が前を向けるように、と気にかけてくださる器の大きな方でした。
この言葉の意味をずっと、自分の中で噛み砕いていました。部下をよく見ていた上司が言うのですから、きっとそうなのだろう、そうなるように努力しよう、と思うようにしました。いつかこの上司にとっても、新しい上司にとっても、いい部下だったと思ってもらえる秘書を目指そうと、この道を進むことを決めた忘れられない言葉でもあります。
秘書としての働き方を考えるようになったあの言葉
その後、八年半ほどご一緒した新しい上司は、部長、部門長、本部長、執行役員、常務取締役へと社内で昇進していきました。それに伴い、私も途中から役員秘書へ。
新しい上司は、理系で真面目でマメで誠実な紳士のような方でした。
連日遅くまで会議が入っていた頃、上司のデスクに「遅くまでお疲れ様です。お先に失礼します」というメモと甘いお菓子を置いて帰宅したところ、次の日の朝、私の机に「ありがとうございます」と大きな手書きの手紙が貼られていてビックリしたことがあります。
お席を外している時に部下の誰かが出張や旅行のお土産を置いていくと「これはどなたからですか?」と聞いて、わざわざお礼を言いに行かれたり、バレンタインのお返しも直接手渡ししたい、という方でした。
それが分かってからは、お土産のお菓子には誰からか分かるように名前のメモを貼り、バレンタインのいただきものは賞味期限順にリスト化。そしてホワイトデーには、事前に全員の座席位置を調べ、手渡しできるよう時間調整を一人一人して、サプライズでご一緒にお返しに行ったものです。まさか忙しい役員が自ら自席にお返しを持って現れるとは!と皆さんとても驚かれていました。元々分刻みの過密スケジュールでしたので苦労しましたが、皆さんの驚き喜ぶ顔に救われました。
秘書として限界を感じていた自分に一言……
役員秘書になると、社内・社外のつながりはそれまでとは比にならないほど増えていきました。上司は、現場の声をとても大切にする方だったので、昇進しても社員との距離ができないよう、私も周りの方々との関係を大切に、相談しやすい秘書を心がけました。
しかし、常に緊張感とともに全力で走り続けていたため、自己犠牲と責任感の強い性格が、そのうち自分を苦しめるようになりました。
上司はその心情の変化を察したのか、ある日の帰りに私を呼び止め、紙にX軸(時間)とY軸(パワー)を書きながら、こんな話をしてくれました。
「短距離走ではなく、長距離走をしてください。150%のパワーで走り続けると成果は出ますが、人間ですから体力は長く続きません。80%の力で10年続けられたら、その効果は前者よりも大きくなります。」
私にそういう働き方をしてほしい、ということでした。
会社が次の成長に向かう過渡期の真っ只中にあり、長時間150%のパワーで走り続けることが日常的になっていました。次第に社内インフラも変わり、ほぼすべてがオンラインでできるようになると、処理スピードは加速、仕事の質も変わり、帰宅してからもオンラインで仕事をすることが習慣化していました。
一度走り出すと、全速力を出してしまいがちな私は、この上司の言葉がなかったら途中で倒れていたかもしれません。肩の力を抜いて、長距離走を心がけるを今でも度々思い出します。
おかげさまで、その会社で11年間、走ることができました。
新しい視点で考えるようになったあの言葉
役員秘書になってから、色々なことに挑戦する機会をいただきました。そのうちの一つが、リーダーの役職です。
当時所属していた部署は数千人という社員が所属する大所帯でした。所属する秘書やアシスタントも多く、縦と横の全体を気にかける役目が必要とのことでした。そこで、今までの秘書業務に加え、部署内の秘書リーダーを私に任せてもらえることになりました。
新しい秘書の採用、面接から関わり、マニュアルとカリキュラムを作成して教育研修を担当しました。部内の秘書と協力しながら全体の業務の質を上げるための改善と効率化を図りつつ、適材適所への配置にも気を配りました。
前職での経験と、部付きアシスタントから積み上げた経験も活かされました。
通常の秘書としての上司とは別に、私のリーダーとしての仕事ぶりを評価する上司が別にできました。その方もまた懐の深い素晴らしい方でした。
ある時、個室で面談させていただいた時に、こんなことをおっしゃってくださいました。
「組織作りの一つの考え方として、自分がいなくても組織がきちんと回るようにするのがリーダーの仕事です。それができるようになると、次のことにチャレンジできます。」
常日頃から経営層の考え方を近くで見られるのは、役員秘書の役得ですが、こんな風に直接教えていただけるのは幸せなことです。張り切り過ぎず、時には周りを信じて任せることも大切だと感じました。そのためにも、秘書として良い背中を後輩に見せられるようになろうと思いました。
プロフェッショナルな秘書こそ、素直に助けを求めることができる
また、この上司からはこんなアドバイスもいただきました。
「SOSを出してもいいんですよ。SOSを早めに出せるのもプロフェッショナルのひとつです」
これは責任感と自己犠牲が強い傾向にある私を見抜いてのお言葉でした。
会社全体のことを考えたとき、突然体調を崩して倒れるより、早めにSOSを出したほうが組織としてのリスクも最小限に抑えられますよね。
人は、任されてこそ成長するのだ、ということを身をもって学びました。
これらの言葉は、今も私の中で生き続けて人生の役に立っています。
秘書の数だけあるストーリー。あなたを変えた上司の一言はなんですか?ぜひ教えてください!
秘書のみなさん、今日もお疲れ様です!
IT系企業での勤務は合計16年。大手企業でアシスタントから取締役秘書まで一通り経験しました。今は双子の育児中!
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