Hisholioインタビュー:CHECKI株式会社 代表取締役 中川亜紀子さん

「秘書としてキャリアを重ねてきたけど、この先どうしようかな」「いつまで今の会社にいようかな」と不安に感じたことがある秘書さんは多いのではないでしょうか?

今回インタビューしたのは、「社長が社長の仕事に専念できる環境づくり」を理念に掲げ、リモートでの秘書・事務支援業務を行う、CHECKI株式会社 代表取締役の中川亜紀子さん。

リモートでもチャットでも「温かさ」を感じてもらえるサービスを展開する中川さん。関西弁の優しい語り口でこれまでの苦労や今後の展望を語ってくださいました。

「やってみないとわからない!」が座右の銘という中川さんのストーリは多くの秘書さんに希望を感じていただけるものかと思います!

 

仕事の原点は「チーム感」!

笹木:
中川さん、本日はよろしくお願いします!
さっそくですが、中川さんの会社が行っている事業内容について詳しく教えてください。

中川:
私が立ち上げた「CHECKI」という会社は、中小企業の事務代行サービスを運営しています。契約書や請求書まわりからカスタマーサポートまで、営業事務のお仕事をまるっとお預かりしている感じです。

そのほかにも、経営者の方から社内で発生する業務全般や資金繰りなどについて直接ご相談をいただくこともあります。

笹木:
なるほど。経営者にとっての心強い味方なんですね。
中川さんのこれまでのキャリアを簡単に教えていただけますか?

中川:
新卒で入社したのはブライダル業界でした。
新郎新婦さんに直接「ありがとう」と言ってもらえる瞬間がたまらなくうれしくて。社員それぞれが役割をまっとうしながら、チームが一丸となって式の当日を迎えるあの感じ。この「チーム感」こそが仕事のやりがい、喜びなんだと思えました。

とても満足して楽しく働いていたのですが、同僚の退職などでメンバーの出入りもあって、だんだん最初の「チーム感」が感じられなくなってしまったんです。やりがいが薄れてしまった感じがして転職を考え始めました。

笹木:
昔から起業したいと考えていたのですか?

中川:
漠然とですが、そうだったと思います。
26歳の時に病気になったり、父が亡くなったりしたことが重なって実家に戻りました。

そのころに初めて独立したのですが、その事業は先が見えず半年で泣く泣く撤退しました。売上が上がらなかったのでとにかくお金がなくて……。
1日3食、実家から送られたお米を食べていました。当時はお米の食べ過ぎで太ってましたね(笑)。

30代で飛び込んだIT業界

笹木:
3食お米!?それからどうしたんでしょうか?

中川:
とにかく就職しなくちゃ!と思って、友人の紹介で30代にして初めてIT業界に飛び込みました。
その会社には2年弱在籍した後、ビジネスチャットを運営するIT関連のベンチャー企業へさらに転職しました。

笹木:
IT業界はどうでしたか?

中川:
その会社に入社するまではちょっとやさぐれてまして(笑)。
半ば「もうIT業界でいいや」というような気持で入社したんです。

でも、転職先の社長から「ITは人が使うものだから、使い方によっては温かくもなるし、無機質な冷たいツールにもなるんだよ」と言われたんです。
その言葉にすごく共感して、「私なら温かくできるかも!私がここで何ができるか試してみたい!」「IT業界を変えられるかも!」と興奮しました(笑)。

笹木:
熱いですね!そこではどんな仕事をされていたんでしょうか?

中川:
ビジネスチャットを通して、サービスを導入してくださっている企業のサポートをしていました。顔が見えないお客様とのチャットなので、「どうしたらもっと相手に伝わるかな?」「どんな表現をすればより良い関係になれるかな」と試行錯誤しながら仕事するのが楽しくて。性に合っていたんだと思います。

そんな時に、たまたま普段は直接お会いすることがないお客様が来社されたんです。今までにチャットでの会話は大量に交わしていましたが、直接お会いするのは初めてでした。そんな状況なのに「もしかしてあなたが中川さん?いつもチャットで対応してくれてありがとう!」と声をかけられたんです。

私を見た瞬間に「この人だ!」と感じてくださったそうです。「なんだかチャットがあったかいんだよね」という言葉をもらって、あー、私こういう仕事がしたかったんだなぁ……と思いましたね。

笹木:
やっぱりお客様からの直接の反応はうれしいですよね。

中川:
本当にその通りです。
その経験からもっとリアルでお客様に会いたいと思って、社内で「みんなの秘書室」というものを立ち上げたんです。もう社内の仕事の全部に関わりたい!全部を見てみたい!という気持ちになってしまって。

社長と一緒に客先に同行してクロージングをして、クライアント企業のフォローやカスタマーサポートなど社内のあらゆることに対応していました。社内の業務に縦横無尽にかかわることで、経営者である社長と同じ目線を体験できたかもしれないですね。

笹木:
経営者と同じ目線で仕事ができる秘書!いいですね!
そのお仕事は、どんなところが楽しかったんでしょう?

中川:
お客様から直接反応をもらえる喜びと、社員みんなで連携して仕事をしているんだという「チーム感」があったんです。

楽しく仕事をしていましたが、社内の状況の変化があったり、もともとその会社に入る前から起業を考えていたので、独立することにしました。
でも、最初は仕事もなくて……。

「月5万円のなんでも屋」に……失敗の連続

笹木:
初めから現在のビジネスモデルだったんでしょうか?

中川:
いいえ、独立した当初は何をするかもちゃんと決まっていなくて、いわゆる「なんでも屋さん」でした。企業のメルマガを代行して書いたり、広報まわりのサポートをしたり。セミナー講師を務めることもありました。

そんな時に、知り合いの紹介でとある会社の社長さんの秘書をすることになったんです。なんでもいいから仕事が欲しかった時期だったこともあり、言われるがままに月5万円で秘書業務を引き受けてしまったんです。でも始まってみると明らかに正社員1人分以上は働いていました(笑)。

笹木:
5万円で正社員1人分!?モチベーションが続かないですよね……。

中川:
そうですね。辛かったです。
そこから自分でもお金のことやビジネスのことを勉強するべきだと気づき、起業塾に行ったりもしました。そんな経験を経て、徐々にしっかりと適正な価格をいただくことができるようになっていきましたね。

当時は痛い経験でしたがあの失敗があるからこそ、今、委託で秘書の仕事を始める方々にアドバイスできていると思っています。

笹木:
中川さん、たくましいですね!

中川:そうですね(笑)。
独立したら会社員とは違って自分で収入を得て、家賃を払ってごはんを食べていかなくちゃいけない。もう稼ぐしかないんだ!って思った途端、なりふり構わず「なんでもいいから仕事ください!」と言いに行きましたね。

「恋するチャット」が大評判!

笹木:
その後、どんなきっかけでピンチを脱したんですか?

中川:
偶然行った食事会でお会いした、創業されたばかりの会社の社長さんから「秘書をお願いできないか」と依頼されたんです。
でも、その時は月5万円で秘書を請け負って苦しんだ思い出が頭をよぎってお断りしました。

今考えると、きちんとサービス設計ができていなかった自分の責任なんですけどね……。なぜか秘書という仕事は向いてないし、うまくいかないんだ、と思い込み「もう秘書はこりごりだ!」と(笑)。

それでも何度も熱烈にお願いされまして。どうやら社長さん自らが社内の事務作業を夜中までされていたようなんです。「本当に困ってるんです」と言いながら、会うたびにどんどん痩せていく姿を見ていたら、放っておけなくて(笑)。

ネットでも事務代行の会社はいくらでも探せる時代だし、なんで私なんだろうと思って聞いてみると、私の人柄を見た上で「この人に任せたい」と思っていただいたようなんです。「それなら」とお引き受けすることにしました。

笹木:
まずどのようなことから始めたのですか?

中川:
秘書業務を担うと決まってからも、昔の「5万円事件」の悪夢が拭いきれず……。もうあんなことになってはいけない!との思いで金額とサービスをきちんと設計しました。

1時間の作業に対していくら、と時間給にしたこと。さらに、私の強みはただ事務作業をするだけでなく、散らかった業務を組み立てて改善したり、マニュアル化したり、という部分なんです。これは前職時代に培ったものでした。そこもお手伝いするということにして、バックオフィスのコンサルティングと事務代行の合わせ技でサポートできないかと考えました。

さらに、「いつか御社が大きくなって正社員の方が入社するときには、引継ぎもスムーズにできるように作っていきます。」とプレゼンしたんです。そしたら「めちゃくちゃいいサービスじゃないですか!!」と大絶賛いただき、事業がスタートしました。

笹木:
よかった!やっと明るい話になってきました(笑)。

中川:
最初の1ヶ月は何度も何度もその企業のビジネスモデルをヒアリングさせていただき、だったらこうやって組み立てよう!とイメージを作ってから業務がスタートしました。

すると、その社長さんがすぐに別の会社を紹介してくださったんです。
「中川さんっていう人がいて、なんでも話を聞いてくれるし、恋するチャットが届くよ」と(笑)宣伝してくださったんです。

笹木:
「恋するチャット」……?

中川:
面白い表現ですよね。全て自分でやらねばと事務作業を抱え込んで辛くなっていた社長さんたちに「あ、そんなのやらなくていいですよ。私がやっときますよー」とメッセージすることで、ものすごく楽になったと。
その解放された喜びで「きゅん」とするそうなんです(笑)。

私の過去の経験であるビジネスチャットと事務の両方がだれかの役に立ったと感じた瞬間でした。とてもうれしかったです。

サービス向上のために、自らもクライアントと同じ体験をするべき!

笹木:
全部中川さんが1人で担当されていたのですか?

中川:
はい、そうなんです。当時は1人ですべて担当していましたが、その「恋するチャット」が噂になってしまって、さらにクライアントが増えていったんです。
また、1社から受ける仕事のボリュームも増えていき、今度は自分が手一杯になっていきました。

笹木:
手分けしてできる人を探そうと思わなかったんですか?

中川:
最初は自分だけでやっていけばいいかと思っていたんです。でもそんな時に、私の業務量がひっぱくしているのを見た社長さんたちから「中川さん、いつもありがとう。大変そうだからもう新しいお客さんを紹介しないようにするね」と言われたんです。
その時に「こんなに喜んでもらえているサービスなのに、このままだと発展性がないな」とハッとしました。

さらに、私のお客さんたちは事務作業を私にアウトソースして楽になっているのに、私はそれを1人で抱えて四苦八苦している。私は楽になる気持ちを本気で共有することができていない!と気づいたんです。
「私も同じサービスを受けなくちゃ!」と思うようになりました。

笹木:
これまで中川さんが担当されてきた社長さんたちと、同じ体験をしていくことになったんですね。

中川:
そうですね。仕事を投げられる側から投げる側になることで、はじめてお客さんの気持ちが分かり、サービスの拡充が図れると考えました。
それからは優秀な秘書さんたちに手伝ってもらうようになって、とても気持ちが楽になりました。「ああ、今まで人に任せられなかったのはなんだったんだろう」と思うくらいに。

今はスタッフも20人ぐらいになりました。全員が完全に在宅勤務です。スタッフによって業務量も異なりますし、みんなが自分のペースで働いてくれています。ようやく、私が求めていた「チーム感」も出てきた感じです。
これからは、実務は誰かに委ねて、私は営業に専念できる体制を作りたいですね。

笹木:
実は今日は中川さんと一緒に働いているスタッフの方にも「Zoom」でこの会話を聞いていただいてるんですよね!その方にもお話を聞いてもいいですか?

中川:どうぞどうぞ!神原さんという九州在住の女性です!

笹木:
神原さん、こんにちは!今日はよろしくお願いします。さっそくですが、中川さんと一緒に働いてみていかがですか?

神原:
めちゃくちゃ楽しいですよ!ストレスなく働けています。中川さんってお話するとフワフワとした雰囲気ですが(笑)、実は水面下ではすごくバタバタしていて……。それを見ていると「そのバタバタ、私にも手伝わせて!」って思っちゃうんですよね。

笹木:
先ほど「恋するチャット」という言葉が出たのですが、神原さんもそう言われるのは分かりますか?

神原:
分かりますよ!普通は仕事の内容だと「お世話になります」みたいに硬い口調になりがちですが、中川さんは相手の性格を考慮して、私の気持ちが楽になるようなやり取りをしてくださるんです。

中川:
うれしいー!(笑)

神原:
私も長い間、会社員として勤務してきましたが、現在は中川さんからメインにお仕事をもらいつつ、自分でもやりたいことに挑戦したいと思っています。自由に自分の時間をデザインして人生を作っていきたいですね。
大手企業が副業を推奨するなんて、数年前では考えられなかった時代が始まっていますよね!中川さんはそんな流れに乗りたい!と考える私たちの強い味方です。もっともっと仲間を増やしていきたいと思っています!

笹木:
確かに!新しい時代が始まっている感じがしますよね。
神原さん、今日はありがとうございました!

笹木:
さて、中川さんにお伺いしますが、スタッフはこれからも増やしていくんですか?

中川:
最初は、他に仕事をお持ちの方々の副業や、主婦の方の家計の補助になれば……という感じでスタッフを募集しました。でも、最近採用した秘書さんから「この仕事だけで生活していくこともできるんですか?」と聞かれた時に「そうか!それもいけるやん!」とスイッチが入りました。

1人で複数社の仕事を受け持ってもらったり、他のスタッフのマネジメントやバックオフィスのコンサルも担ってもらえれば、しっかりと収入を取ってもらえると思っています。

笹木:
「バックオフィスのコンサル」ってどんな仕事なんですか?

中川:
例えば、「この部分は2人で同じ作業を繰り返していますよね。エクセルのシートを作って全員がここを見るようにしたらどうですか?」とか「この作業とこの作業は順番を入れ替えるとスピードが上がりますよね?」などのご提案です。まさに秘書さんが普段の業務の中でやっていらっしゃることだと思うんです。

笹木:
なるほど!「コンサル」と聞くと難しいイメージですが、それなら秘書さんの得意ゾーンですよね。
最後に、中川さんの今後の展望を教えてください。

中川:
世の中では「仕事」というと嫌なことも苦手なことも全てやらなきゃいけない、みたいな風潮があると感じています。
でも、必ずしもそうではないのかなって思うんです。

私は事業を通して、社長さんたちから事務作業を引き取り、ご自分の得意なことに専念できる環境を提供しています。
でもそれは経営者だけじゃなくて、1人ひとりが得意なこと、好きなことに特化して仕事ができるような世界を作っていくのが理想です。

秘書さんの中にもスケジュール管理が好きな方、プレゼンしたり、コミュニケーションが得意な方、文章が上手で御礼状を書くのが好きな方、と色々だと思うんです。

そういう個性が集まって大きな仕事を成し遂げられるような世界を創っていきたいと思っています。
1人ひとりがパズルのピースだとしたら、私はパズルの組み立て役でありたいんです。人と人というピースを上手に合わせて大きなピクチャーを描く。そして、私はその仕事が大好きで、得意だと思っています。

今後、神原さんのように新しい働き方をしていきたい秘書さんとはぜひ一緒にお仕事したいですね!

笹木:
1人ひとりが得意なことに専念できる世界、実現してほしいですね!そして、パズルのピースを組み合わせるのが中川さん。
なんだか秘書の明るい将来を見た気がして、とても希望が持てました。中川さんのこれからを心から応援しています!

安心院 彩

損害保険会社に6年勤め、結婚を機に退職。秘書として1年従事した後に現在はフリーランスライターとして活動中。
趣味は愛犬の散歩、お酒を飲むこと、銭湯めぐり。隠れた特技(?)はバイオリン。

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コメント

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  • コメント (2)

    • 坂本美由紀
    • 2021年 8月 20日

    Naomiさん
    ステキな企画、いつもありがとうございます

    中川さんの言葉一つ一つからポジティブパワーが伝わってきて、元気と勇気を頂きました! 私も何か中川さんの力になりたいと思いました。自分に何ができるか棚卸しをして9/4のオンラインインタビューを楽しみに待ちたいと思います

      • 編集長
      • 2021年 9月 01日

      コメントありがとうございます!
      中川さんはおっしゃる通り、周りの人に元気を振りまく存在だと思います!
      オンラインのインタビュー、楽しみにしていてくださいね!

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